今までの実績

診療について

大学卒業後は臨床研修医として精神科、神経内科、循環器内科、脳神経外科、放射線科をローテーションしました。その後精神科に固定して外来と病棟での診療に従事し、さらに研修医終了後は常勤の精神科医師として勤務しました。

病棟で担当した症例の診断内訳は、統合失調症圏と気分障害圏が大多数を占めています。認知症など脳器質性疾患、アルコール依存症などがそれに次いでいます。また少数ですが思春期の摂食障害などの入院治療も担当しました。治療方法は薬物療法と支持的精神療法が主体です。

総合病院では、精神科以外の入院患者に生じた精神症状の診断と治療(コンサルテーション・リエゾン活動)も重要な仕事の1つです。このような症例で最も多かったのは夜間せん妄であり、ついでうつ状態、認知症などでした。外来診療では、職場での適応障害などストレス関連疾患が多かったように思います。

留学と研究所勤務を経て名古屋大学に移り、2016年まで名古屋大学附属病院で診療に従事していました。

研究について

私は機能的磁気共鳴画像(fMRI)、ポジトロンCT(PET)、単光子放射CT(SPECT)などの画像診断装置を用いた神経画像研究を行ってきました。神経画像による脳賦活検査に心理学的な課題を応用し、ヒトの脳機能を非侵襲的に測定することで認知機能の脳内メカニズムを解明することを目標としています。最近ではこれらに加えて脳波・事象関連電位(ERP)や遺伝子解析の手法を取り入れ、より統合的に脳研究を進めています。

精神医学領域における臨床研究としては、主にSPECTによる安静時の脳血流測定を気分障害患者で行いました。その後に笹川医学医療研究財団の海外派遣研究員として留学する機会を得たため、カナダのトロント大学心理学教室においてPETを用いた高次脳機能と加齢の影響に関する研究に従事しました。帰国後は福井医科大学・高エネルギー医学研究センターで、fMRIによる高次脳機能と可塑性に関る研究に従事しました。ここでは健常成人のエピソード記憶や顔認知の研究に加えて、統合失調症や高齢者の脳機能の研究を行いました。

名古屋大学へ赴任後は、自然科学研究機構生理学研究所や長寿医療研究センターとの共同研究を行いました。情動や顔認知の脳内機構についてfMRI研究を行い、ERPとfMRIを同一被験者・課題で行ったこともあります。最近ではfMRIにより測定された各部位の脳賦活の程度と、各被験者の遺伝的多型性との関連性を検討しています(Imaging Genetics研究)。性格傾向や感情と関連するセロトニン3型受容体プロモーター遺伝子の多型性により扁桃体・前頭前野の活動が異なっていることが示されました。

近年は多施設共同研究を推進しており、多数の大学病院で同じMRI撮像プロトコールを設定した研究を行っています。これにより日本人独特の精神疾患への脆弱性や、脳機能・形態の特徴をとらえることができると思います。また海外の画像データベースから得たデータを基に、精神疾患のバイオマーカーを開発する研究も行っています。

現在は名古屋大学・大学院医学系研究科・作業療法学講座・教授として脳とこころの研究センターを中心に研究を進めています。

教育について

医学教育に関する実績としては、名古屋大学医学部・大学院医学系研究科における教育を担当しています。非常勤として、藤田保健衛生大学・医学部と名城大学・薬学部における講義を担当していました。また以前は筑波大学医科学研究科において修士課程学生(および一部は学部学生)に対して精神医学に関する講義を担当していたこともあります。民間病院において研修医に対する指導と、付属看護学校での精神医学に関する講義を担当していた経験もあります。さらに心理学講座の教員として脳科学・神経科学の講義や演習を担当した経験もあります。